## トレンドは上放れの条件達成への期待高まる前回のコラムでは「5日移動平均線上を維持するようなら、すべての移動平均線が上昇を続けることが考えられるほか、上向きの25日移動平均線が200日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生するのではないかと思われます」と解説しました。実際には、6月18日から6月19日までの2日間は上向きの5日移動平均線上を維持していたものの、6月20日には上向きの5日移動平均線を下回り、6月23日には上向きの200日や同水準で推移する25日移動平均線に接近する場面がありました。ただ、翌日6月24日には窓をあけて反発し、5日移動平均線を上回って終えるとともに、5日移動平均線が上向きを維持しています。さらに、6月24日の上昇で、上向きの25日移動平均線が緩やかに上向きを続ける200日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しており、トレンド分析では上放れの条件が揃ったと考えられます。そのため、5日移動平均線上を維持している間や、5日移動平均線を下回ってしまった場合でも、25日移動平均線上を維持するようなら、上昇トレンドに変化はないと考え、押し目買いのタイミングになるのではないかと思われます。一方で、5日と25日に加え、200日移動平均線も下回って戻せなくなるような値幅を伴う急落が発生するようなら、5月22日の安値に接近したり、割り込んだりすることが視野に入るため、トレンドの転換に注意が必要です。【図表】日経平均株価(日足)出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、200日(グレー線)で設定※出来高はプライム市場※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示## モメンタムの低水準は投資家心理の表れか?そうしたなか、投資家の気持ちとしては一気に上放れることを期待したいところですが、そうなっていません。なぜ、上放れの条件を達成しているのに一気に上放れないのでしょうか。それには理由があります。それは、上昇や下落の勢いを教えてくれるモメンタムの水準が低いからです。外部環境では、7月9日に米国による相互関税発動の期限を迎えるほか、中東情勢の行方、さらには国内の参議院選挙など、様々な不透明要因があるから上放れることができないと考えるのが一般的だと思います。しかし、こうした不透明要因に対する投資家の心理の表れが、モメンタムの水準であると筆者は考えています。相場の先行きが読めないことを嫌がる投資家の行動が、まさにモメンタムの水準の低さに表れていると考えることができるのです。そのため、仮に外部環境に大きな変化がなかったとしても、モメンタムの水準が切り上がってくるようなら、投資家心理が強気に傾いて積極的になってきたと考えられます。なぜなら、一般的に「株価は半年先を読む」とされているため、外部環境に変化がなくてもモメンタムが上昇するようなら、投資家心理が強気に傾いたことがモメンタムの勢いに表れるとともに強くなって上放れることが期待されるからです。一方、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、低下して上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って水準が低下するようなら、逆に投資家心理が弱気に傾いたことを示すとともに下落の勢いが強まり、3本すべての移動平均線を下回ることが視野に入り、下降トレンドの発生に注意が必要になると考えられます。こうした考え方から、トレンドとモメンタムを合わせて見ることに意味が発生し、売買判断に役立てることができるため、活用してみてください。
【日本株】上放れの条件達成と投資家心理、どちらが優勢となるか注目の週 | 福永博之のいまさら聞けないテクニカル分析講座 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
トレンドは上放れの条件達成への期待高まる
前回のコラムでは「5日移動平均線上を維持するようなら、すべての移動平均線が上昇を続けることが考えられるほか、上向きの25日移動平均線が200日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生するのではないかと思われます」と解説しました。実際には、6月18日から6月19日までの2日間は上向きの5日移動平均線上を維持していたものの、6月20日には上向きの5日移動平均線を下回り、6月23日には上向きの200日や同水準で推移する25日移動平均線に接近する場面がありました。
ただ、翌日6月24日には窓をあけて反発し、5日移動平均線を上回って終えるとともに、5日移動平均線が上向きを維持しています。さらに、6月24日の上昇で、上向きの25日移動平均線が緩やかに上向きを続ける200日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しており、トレンド分析では上放れの条件が揃ったと考えられます。
そのため、5日移動平均線上を維持している間や、5日移動平均線を下回ってしまった場合でも、25日移動平均線上を維持するようなら、上昇トレンドに変化はないと考え、押し目買いのタイミングになるのではないかと思われます。
一方で、5日と25日に加え、200日移動平均線も下回って戻せなくなるような値幅を伴う急落が発生するようなら、5月22日の安値に接近したり、割り込んだりすることが視野に入るため、トレンドの転換に注意が必要です。
【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、200日(グレー線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示
モメンタムの低水準は投資家心理の表れか?
そうしたなか、投資家の気持ちとしては一気に上放れることを期待したいところですが、そうなっていません。なぜ、上放れの条件を達成しているのに一気に上放れないのでしょうか。それには理由があります。それは、上昇や下落の勢いを教えてくれるモメンタムの水準が低いからです。
外部環境では、7月9日に米国による相互関税発動の期限を迎えるほか、中東情勢の行方、さらには国内の参議院選挙など、様々な不透明要因があるから上放れることができないと考えるのが一般的だと思います。しかし、こうした不透明要因に対する投資家の心理の表れが、モメンタムの水準であると筆者は考えています。
相場の先行きが読めないことを嫌がる投資家の行動が、まさにモメンタムの水準の低さに表れていると考えることができるのです。そのため、仮に外部環境に大きな変化がなかったとしても、モメンタムの水準が切り上がってくるようなら、投資家心理が強気に傾いて積極的になってきたと考えられます。
なぜなら、一般的に「株価は半年先を読む」とされているため、外部環境に変化がなくてもモメンタムが上昇するようなら、投資家心理が強気に傾いたことがモメンタムの勢いに表れるとともに強くなって上放れることが期待されるからです。
一方、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、低下して上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って水準が低下するようなら、逆に投資家心理が弱気に傾いたことを示すとともに下落の勢いが強まり、3本すべての移動平均線を下回ることが視野に入り、下降トレンドの発生に注意が必要になると考えられます。
こうした考え方から、トレンドとモメンタムを合わせて見ることに意味が発生し、売買判断に役立てることができるため、活用してみてください。